中国で走っている車は本物の偽物?の裏話

私は仕事で
よく中国へ行くのですが、
行ってみると驚かされるのが
車種の豊富さです。

特に上海などは
日本車、ドイツ車、韓国車
とかなりの車種を見かけます。

そして、すべてが左ハンドルです。

トヨタのクラウンなど
日本市場向けにしか
生産されていない
と思っていた車も
左ハンドルが存在し、
走っています。

思わず「コレ本物??」

と思ってしまいます。

でもタイトルにある通り、
これらは本物の偽物。

すなわち、
日本やドイツの
自動車メーカーが認定した
中国自動車メーカー製の
自動車です。

なので
トヨタのエンブレムが
ついていようが、
フォルクスワーゲンの
エンブレムが
ついていようが、
中国の国産車なのです。

ちょっと混乱しますか?

それでは、
なぜそんな面倒なことに
なっているのかを
ご説明致しましょう。

巨大な中国自動車市場

まず、中国市場は
世界最大の自動車市場です。

広大な大陸に
大変な数の人々が住んでいるので
分母がハンパないわけです。

1990年代以降中国経済の
発展にともない、
中国の自動車産業も
一緒に成長してきました。

年々拡大する自動車需要。

ここに供給、
すなわち自動車販売をしない
手はありません。

日本をはじめ
ドイツを中心としたヨーロッパ、
アメリカの自動車メーカーは
目をつけるわけです。

しかし、
中国は輸入関税が非常に高く、
輸出によって
中国で販売しようとすると
車両価格が非常に高くなってしまい、
売りにくいということなのです。

そこで、
普通考えられる方法といえば
中国国内での現地生産なのですが、
そこは社会主義国家ですから、
お金がからむ話になると
政府が介入してくるわけです。

中国で外国メーカーが
自動車を生産するには、
中国政府の方針により
中国の国内自動車メーカーと
50:50の出資比率での
合弁(ごうべん)会社を
設立を義務とした上で
国内生産を承認する
ということになっています。

業務提携をさせて
中国メーカーの仕事を
増やそうということです。

乱立する中国自動車メーカー

実は中国には
100以上の自動車メーカーが存在します。

自動車工場ではなく、
自動車メーカーですよ。

よくニュースなんかでも
こうしたメーカーが製造した
コピー車やそっくり車が
話題に上がりますよね。

彼らの製造する技術力や、
生産能力というのは
非常に高いのです。

ただ、企画力や管理能力、
個々のモチベーションが
非常に低いです。だから、

品質の悪い、安い、
ただ形だけをそっくりまねた
コピー車が
出来上がるのです。

中国人は中国人の性格を
よく知っているので
中国メーカーの車を
買いたがりません。

そもそも中国では自動車は
まだまだ上流家庭の乗り物
ですから、
自動車を買う人というのは
お金持ちなのです。

自動車はお金持ちの象徴として
見られているわけですから、
どうせ買うなら
ベンツやBMW、レクサス
といった高級車や
トヨタやフォルクスワーゲン
といった名の通った
ブランドがほしいのです。

ちなみに、
庶民の足はもっぱら
電力自転車(電気スクーター)です。

これらも
日本のバイクメーカーが
作っているスクーターと
デザインはそっくりですが、
まったく関係は無いようです。

中国政府は国内100以上の
自動車メーカーの乱立による
売れもしない車の過剰生産を
懸念していて、
この問題を解決する策の
一つとして合弁会社を
義務付けているわけです。

この合弁会社で
生産される自動車こそが
本物の偽物自動車の正体です。

中国製造品を日本に輸入したら?

そして2009年中国は日本の
自動車生産台数を乗り越え、
世界一の自動車生産国に発展しました。

生産数が世界一になれば、
普通はノウハウもシステム化されて技術力、
生産力も上がってくると思いますよね?

もし、
そうであれば人件費の安い
中国で生産したものを輸入する方が
コストが抑えられ、
利益を増やしたり、
販売価格を下げることができるのです。

そこで、日本の自動車メーカーは
一部中国生産のエンジンや
パーツを日本に輸入して
使い始めた時期がありました。

ところが、
中国のメーカーは技術力や生産力は
上がったものの
ノウハウや人の管理が苦手なのでした。

輸入された部品は製品誤差が大きく、
使い物にならず
返品しなければならなかったり、
再生産をかけるのに
納期が大きく遅れたりと
トラブルが発生する殊に加え、
組み込んだものの
すぐ故障してしまう
などの例もあったようです。

現在は報道でも伝えられている通り、
日本企業は中国から
一斉に手を引いています。

原因は急速な円安や
中国経済の
不安からだと言われています。

ただ、
自動車業界においてこれらは
タイミングでしか
なかったように思えます。

日本ユーザー向けの商品は
中国では作れなかったのです。

これからの不安

それでも中国の自動車市場は
これからも発展を続けるでしょう。

なので日本企業は
中国での合弁会社は残しつつ、
そこで生産した自動車を
中国国内にだけ
どんどん供給していく
ことになります。

こうやって中国国内向けにだけ
作られる形は同じだけど
品質は別物な本物の偽物自動車は
今日も中国国内で販売され、
元気に走り回り、
増え続けているのです。

自動車の増加が
このまま中国で続けば、
これからますます
PM2.5などの大気汚染は
深刻化するのでは
ないでしょうか。

少し心配です。

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